ここが、自然への入り口

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母性本能

早朝の森.jpg

すっかり緑に埋め尽くされた深い森の中を歩いてきた。
森の中は大木の葉によって光が遮られ、すでに太陽は昇っているはずなのにとても暗い。
林床に届く光はとても少なく、大きく育っている植物はシダの仲間が多い。
上も下も濃い緑に埋め尽くされ、鳥の姿を探すことは不可能に近くなっている。
しかし、まだ半月ほどは鳥たちのさえずりを楽しむことができる。
コルリやミソサザイのさえずりを耳にしながら、
道端にひっそりと咲く花や、シダの仲間を眺めながら前へ進む。
「バタタタタタッ!」
突然、目の前から何かが飛び立った。

ヒロハトンボソウ.jpg クジャクシダ.jpg

飛び立った鳥は間近の枝にとまり、片方の羽をだらりとぶら下げて震えていた。
エゾライチョウ雌の偽傷行動だ。
怪我をしているふりをして、敵(私)の注意を自分に引きつけようとしているのだ。
近くに雛がいるに違いない。
慎重に2~3歩前へ歩を進めてみた。
すると、ほんの数メートル手前の草むらから、5羽の雛が一斉に湧き出した。
しかし雛の移動力はまだまだ乏しく、
飛び出したはいいが、すぐに地面にぼたぼたと落ちていく・・・。
観察はこの一瞬だけで十分である。
これ以上彼らに接近すると、雛たちは親鳥とはぐれてしまう。
そうなってしまっては、過酷な環境が雛たちの生存を許しはしないだろう。
私は足早に現場を離れた。

羽づくろい中のクマゲラ.jpg

帰り道、どこからともなく甲高い声が森の中に響き渡る。
「キョーン・キョーン」
ふと見上げると、目の前のトドマツの幹に黒い大きな鳥が張り付いていた。
それはクマゲラの雌だった。
私の存在に気付いているだろうに、飛び去ることなくゆったりと羽づくろいを続けていた。
どれくらい経っただろうか?
一通り全身の羽を整えたあとに、彼女は暗い森の奥へと消えていった。

<本日オホーツク圏で見聞きした鳥>
オシドリ・エゾライチョウ・キジバト・アオバト・ジュウイチ・ツツドリ・クマゲラ・アカゲラ・オオアカゲラ・コゲラ・キセキレイ・ビンズイ・ミソサザイ・コマドリ・コルリ・トラツグミ・アカハラ・ヤブサメ・ウグイス・エゾムシクイ・センダイムシクイ・キクイタダキ・キビタキ・オオルリ・エナガ・コガラ・ヒガラ・キバシリ・アオジ・ウソ・カケス・ハシブトガラス

写真上:早朝の森
写真中:ヒロハトンボソウとクジャクシダ
写真下:羽づくろい中のクマゲラ

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